ME/CFSウェブセミナー第16弾 

ME/CFSウェブセミナー第17弾 MEと脳

 

MEに関して脳で起きている最も重要な障害は何ですか。

 

この質問は、ME全体の新しい章と言っても過言ではありません。

 

多くの神経科医が(MEと脳の関係を)過去20年間研究してきました。まずはじめに血液循環障害が観察されました。初期の頃、1990年代初期には、脳幹内の血流が低下していることが証明されました。後に、SPECTスキャンによって、脳のいくつかの部位で通常より血液量が少ないことがわかり、それが障害を起こしていることがわかりました。

 

さらに、非常に重症な患者の陪検の結果、いくつかの発見に導かれました。たとえば、異常な組織の小さな病巣、アミロイド小体(デンプン様小体)が発見され、脳の炎症も見られました。25-30%の患者には、脳脊髄液の中に過剰な白血球値が見られました。つまり、症例が少数の患者に見受けられるということです。

 

また、間接的に発見された事柄もあります。脳から始まりセロトニンによって調整されているHPA 軸(視床下部・下垂体前葉副腎皮質系)が妨害されていることがわかっています。これは、鬱病で観察されるものと逆のものです。ここでは、HPA 軸の抑制が起きており、これは脳内のセロトニンの欠乏に起因する可能性があります。

 

 

これらの障害はどのような影響を与えますか。

 

記憶力の欠如、とくに短期記憶力の低下が見られます。集中力の障害が起こり、質問に答えるのに時間がかかります。これは、おそらく神経細胞間の連絡の遅れによって起こされています。これらの細胞の情報伝達がおそらく遅くなっています。

アメリカのネーテルソンのグループによる非常に特化された研究によると、特定の作業をするのに、(ME患者では)健康な人よりももっと広範囲の脳が活動していることがわかりました。

ME患者は、また、その他にも多くの機能障害を抱えていますが、それは限定的なものから、広範囲にわたるものまで多種多様にわたります。

 

 

 

このような障害の心理的な特徴は何ですか。

 

精神面で言えば、うつ病の兆候が見られますが、これは典型的なうつ病とは異なります。なぜなら、コルチゾール値の低下を伴ううつ病だからです。

 

本来のうつ病の場合、精神科医によって観察されているように、コルチゾールレベルが高値を示します。そして、24時間の間に尿内のコルチゾール分泌が顕著に増加します。

 

ME患者の場合は、異なる種類のうつ病で、それは脳のセロトニン値の低下と関与しているかもしれません。通常のうつ病の治療に使用されるSSRIが(ME患者では)効かず、病態を悪化させることもこの証拠になっています。

 

その他の心理的症状は、おそらく感染や炎症に関連しています。たとえば、さまざまな行動上の変化です。

 

自分の行動を時にコントロールすることができなかったり、かんしゃく発作を起こす人たちも少数います。これも、おそらく炎症性の病態に関連しています。

 

このように、ME患者には、心理的な症状や神経系の症状がありますが、それらはさまざまで広範囲にわたっており、他の疾患にもしばしば見られる症状に似ています。このため、混乱が起きやすいのです。新しい国際ガイドラインであるICCでは、神経系や二次的な症状に加え、心理的な症状への言及があります。

 

 

 

 

 

 

 


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