2015年

12月

31日

「慢性疲労症候群と線維筋痛症は、パーキンソン病と関係している?」Cort Johnson著

 

http://www.cortjohnson.org/blog/2015/12/29/chronic-fatigue-fibromyalgia-parkinsons/

 

要約:

 

パーキンソン病の薬L-dopaと非ステロイド性抗炎症薬が、痛みを持つ動物への実験で痛みを消し去ったという実験結果を受けて、人間への臨床試験が行われることになっている。

 

L-dopaだけでなく、Pramipexoleもまたラットの研究で痛みに対する同様の効果を示した。2005年に行われた線維筋痛症の研究でも35%の痛み軽減、40%の人が50%以上の痛み削減を示した。疲労は、平均30%減少したという結果が出ている。

 

これまで、パーキンソン病とME/CFSFMとの関係は注目されていなかったが、両者には、筋肉の硬直、筋緊張、収縮筋肉、自律神経系の問題、歩行の問題、認知的な問題、感覚過敏や気分障害などの類似した症状がある。線維筋痛症に見られる小径線維ニューロパチーがパーキンソン病にもある感覚異常の原因と見られている。

 

大脳基底核の活動の減少がME/CFS,FMの疲労と関与しており、大脳基底核の血流量の低下が線維筋痛症の痛みや全体的な症状に関わりを持っていることが最近わかってきた。

 

大脳基底核は、筋肉の動きを司るだけでなく、自律神経系や認知、感情などを統制する器官である。

 

大脳基底核の神経細胞は、幸福感を生み出す麻薬やセックスや運動などの報酬によって活性化する。

 

パーキンソン病の場合、ドーパミンを産出する神経細胞の破壊によって、運動を抑制する部分の脳がオーバードライブになる。患者の筋肉は、筋硬直と筋緊張の状態になるが、これは、筋肉の問題ではなく、脳が単に筋肉を動かす指令が出せないことから来ている。

 

最近の研究でパーキンソン病では自律神経系の問題があることがわかっているが、ME/CFS,FMでは、副交感神経の異常があることがわかっており、起立不耐性も見つかっている。

 

 

 

1995年に、Benjamin Natelsonによって、はじめてME/CFSの歩行についての研究が行われ、ME/CFS患者の歩行に異常があることがわかった。平衡感覚や筋力低下、脳の中枢神経系の異常が原因とされた。その後の研究で、ME/CFS患者が歩行の始めの段階で異常を示すことから、歩行の異常が疲労によるものではなく、中枢神経の異常によるとされた。また、2008年の研究では、CFS患者の歩行の遅さや歩幅の小ささが指摘された。

 

また、その後のフォローアップテストで、健常者よりも、歩行のために使っているエネルギー量が非常に多いことがわかり、ゆっくり歩くことでエネルギーの消費を抑えていることもわかった。その原因として、運動恐怖(筋肉の活動とエネルギーの消費を恐れる)や代謝・ミトコンドリアの異常などがあげられていて、これらは多発性硬化症や脳卒中などにも見られる。

 

線維筋痛症患者も類似の傾向があり、歩行の際に、足首の筋肉より、エネルギー消費の多い股関節屈筋を使っている。

 

ゆっくりした動きは、パーキンソン病の特徴であり、それはドーパミンの減少によるものでだが、Miller氏の研究は、ME/CFS,FMにもドーパミンの減少が関与していることを示唆している。

 

 

 

類似した症状、大脳基底核の問題、ドーパミンの減少、自律神経系の異常が、ME/CFSFMがパーキンソン病やその他の大脳基底核系の病気と関連している可能性を示す。

 

大脳基底核は、主要な器官で、いくつかの異なるサブ器官を持つ。どの部分に異常があるかによって、どの病気になるかが決まる。これらの中には、パーキンソン病、ハンチントン病、テュレット障害、ジストニア、そしてアディクション(中毒)などがある。おそらく、ME/CFSFMなどの疲労や痛みの障害がこれらのリストに加わる日が来るだろう。

 

2015年

11月

18日

米国人気司会者オプラ・ウィンフリーが発行するO'マガジンでME/CFSが取り上げられる ~皆さんにご購入いただいたDVD「闇からの声なき声」の収益は、この記事で紹介されているスタンフォード大学Dr.モントヤの研究にも活かされています。~

米国の人気セレブオプラ・ウィンフリーの雑誌に、ME/CFSが取り上げられました。

「あなたがまだ疲れているのはこのせいなの?CFSついにその正体にせまる」

彼女の影響力はアメリカでは偉大で、多くの人の目にこの記事が触れることと思います。

記事には、現在の最新の米国のME/CFS事情がわかりやすく記載されています。



この記事に紹介されているスタンフォード大学Dr.MontoyaのME/CFS研究にも、皆さんがご購入、上映会をしていただいたME/CFSドキュメンタリー「闇からの声なき声」の販売によって得た収益が寄付されています。

今回は、イギリス製作者側の要望で、”まーくハウス&ぷろじぇくと May 12th ME/CFS Japan"より直接、Dr.Montoyaの研究にDVD代金を寄付させていただきました。

「闇からの声なき声」製作者ナタリーとそのご家族、そして、出演者のME/CFS患者とご家族に感謝を込めて、日本の患者や家族を代表して まーくハウス&ぷろじぇくとよりささげます。」というメッセージをつけさせていただきました。

ご自分が買われたDVDの代金がどんな研究に用いられたかを知りたい方は、英語ですが、こちらをご覧ください。





以下は、記事の意訳。

「8年前、Ann Cavanagh Kramer は、Visaのセールスディレクターに昇進した。彼女は、サンフランシスコ湾地域のオフィスに転勤し、6ヶ月の間、コンフェレンスや見込み客に営業をかけるためにかけまわっていた。

彼女のことばで言えば、彼女は「ゲームの最高峰にいた。」しかし、200710月のハーフマラソンを走った後、ウイルス感染をし、そこから、ふらつきや強烈な疲労感に襲われるようになり、一日に156時間は眠ってしまう状態になった。

「働いていない時は、ずっと寝ていました。」とCavanaghKramer 38歳は話す。彼女は、副鼻腔炎や気管支炎、インフルエンザか、もしくは、肺炎などを疑いましたが、「私に何が起きているのかわかる人が誰もいませんでした。」


翌年も疲労は消えず、休職。
その時の医師の中には、国内出張の多いことから慢性的に時差ぼけになっているという者や心気症だと決め付ける医師もいた。自分は仮病を偽るような人間ではないので、憤りを感じたと彼女は話す。
ついに、慢性の病態を専門にするクリニックにたどりつき、『慢性疲労症候群(CFS)』の診断を受ける。

この病気は、日常生活に支障をきたす病で、はげしい疲労や集中力の低下、睡眠障害、筋肉痛、頭痛、その他の症状を引き起こす。CFS100万から400万人のアメリカ人が発病しているとされ、原因は不明。女性は男性の2倍から4倍診断される可能性が高いとされている。

確定診断されたとはいえ、処方された抗ウイルス剤はわずかな回復しかもたらさず、すぐに状態は停滞した。




ところが、2012年にスタンフォード大学infectious diseases andgeographic medicineの教授であるJose Montoya(ホセ・モントヤ)氏との出会いで事態が好転する。

モントヤは、CFSの原因と治療法を最新の方法で研究する数少ない医師の一人。ウイルスや細菌の一通りの診断検査の後、これまで処方されていた抗ウイルス剤の1つを続けると同時にいくつかの重要な変更をした。
彼は、抗炎症剤と免疫調節剤を加え、彼女の血液中に見つかった細菌に対して抗生物質を処方した。
数週間で、CavanaghKramerは、家を出て同じ日に二つの用事をこなせるほどのスタミナが出てくるようになった。
これは、4年半で彼女がはじめて経験したことだった。


彼女の経験は、どのようにCFSが体に影響を与え、どのように治療したらよいかという理解に変化をもたらした。
歴史的にいえば、多くの医師はCFSを心因性の病気とし、医学的ではなく、心理的なアプローチが必要だと考えられていた。
しかし、モントヤやその他の研究者の最新の研究によって、この病態が医療界でもっと真剣に取り扱われるべきだという方向に向かっている。


肺炎が多くの異なる生物によって引き起こされているのと同じように、モントヤは、ウイルスなどを含む複数の病原体がCFSを引き起こすと考えている。
最近まで、誰もこれらの病原体が免疫システムに与える混乱を見つけることができなかった。モントヤとそのチームは、病歴の浅いCFS患者の血中に免疫の異常を指し示すことに成功した。これらがこの病気のバイオマーカーとして用いられる可能性が出てきた。
「多くの医師や研究者は、CFS患者には活発な炎症サインが出ていないと考えていましたが、もっと詳細な検査をすると、結果は驚くべきものでした。非常に高い炎症を起こしている患者の姿が私たちの目の前に浮かび上がってきたのです。このことは、数十年にわたって彼らが訴え続けてきたことを証明するものでした。」とモントヤは語る。


 今年、米国医学研究所は、CFSを「深刻な、慢性の、複雑、かつ、全身性の病気」とし、この病気が実存する病気で、捨て去るべきではないとした。また、病気の特徴をはっきりと定義し、病名を「全身性労作不耐性疾患」(直訳)と改名した。長くて発音しにくいが、多くの専門家は、これが正しい方向への第一歩だとする。


そして、この病気への研究は拡大している。
医師たちは、現在、どのようにウイルスや細菌が体の免疫システムに影響を及ぼしているか、そして、どのように、これが、ある人たちには慢性疲労を引き起こす可能性があるが、他の人には影響がないのかを研究している。
8月には、コロンビア大学Mailman School of Public Healthの疫学準教授であり、モントヤと免疫研究をリードする研究者であるMadyHornig, MDは、国立衛生研究所(NIH)から助成金を受け取った。
これは、喉や胃腸管、血中のミクロビオーム(体内に住む膨大な数の細菌やウイルス、カビ菌など)がどのように慢性疲労に関連しているかの研究をするためのサンプルを集めるためのものだ。
「私たちは、CFS患者のあるグループは、感染症からこの病気を発病していると考えています。そこで、私たちは、感染病原体を体内のいたるところで探しているのです。
それは、腸内細菌の異常という結果になるかもしれませんが、そうなれば、プロバイオティクスなどミクロビオームに影響をもたらす戦略を考案することができます。」とHornigは語る。


Hornigやモントヤ、そしえ、彼らの仲間たちがしている最も重要な仕事は、患者たちに彼らの人生を取り戻させることだ。


まだ完治にはいたらず、彼女の愛する仕事へは復帰できていないものの、モントヤによって処方された薬をのみはじめて以来、CavanaghKramerは、最初にCFSと診断された頃には想像もしていなかったようなことを成し遂げている。

子犬を引き取り、再び、デートをするようになり、ついには結婚もした。5月には女の赤ちゃんを出産した。

2008年には出口が見つかりませんでした。結婚や母親になることが自分の中の選択肢にあるとは思ってもみませんでした。でも、この病気になって8年という月日を費やしていますが、まだ私にはたくさんの人生が残っているのです。」

2015年

10月

30日

世界のME/CFS専門医や患者会が論文撤回に向けて署名にて抗議!オクスフォード大学精神科医らが認知行動療法と段階的運動療法のME/CFSへの効果を発表。研究者らと政府と保険会社との利害関係や研究方法、倫理的問題に非難の声。

オクスフォード大学の精神科医教授マイケルシャープ氏が、ME/CFSの一番の治療法が認知行動療法と段階的運動療法であると発表したことに対して、ME Association、ME Actionなどの海外患者会は、「受け入れがたいこと」として、抗議している。
ME Action
ME Association 
 
ME Associationのアドバイザー医師チャールズ・シェパード氏は、「この病気は神経系の障害で、認知行動療法は、MEの治療には関係ない。」とする。
数週間で、一万筆を越える論文撤回への署名が集まっている。(11月12日づけの記事による)
 
 
一方、シャープ氏は、MEが重篤な疾患であることを否定しているのではなく、薬物療法やペーシング療法に比べて、認知行動療法と段階的運動療法のほうが長期的な効果があり、研究後、2年経ってもその効果は持続しているとしている。
 
「このリハビリ療法は、魔法の治療法ではないが、効果があるという証拠をもつ唯一の療法だ。」という。
 

 
段階的運動療法や認知行動療法のCFS患者への適用については、多くの議論が存在する。
それは、その有効性を裏付ける大元になった論文自体の信憑性に対して大きな疑問が投げかけられていることによる。
 
医療ジャーナリストDavid Tullerが、この研究論文の問題を指摘し、世界的な研究者たちもこの論文、そして、2015年に新たに発表されたマイケルシャープ氏らの論文を批判し、論文の撤回を求める署名運動が続いている。
医療ジャーナリストDavid Tuller「TRIAL BY ERROR: The Troubling Case of the PACE Chronic Fatigue Syndrome Study」
この研究の土台となったのは、2011年に発表された「PACE Trial」である。
今回の論文は、この研究に参加した患者を数年後にフォローアップしたアンケート結果から導き出された。
 
イギリスにおいて多額の研究費をかけて行われたME/CFS研究「PACE Trial」自体は、当時からその研究内容や方法、研究者の動機、研究者と政府や保険会社との利害関係などが疑問視されてきた。
David Trullerの主な指摘は以下に要約される。
1)17人(19人?)の研究者のうち、3人は、ME/CFS患者に保険料の支払いを避けたい保険会社のコンサルタントとして働いていたこと。保険会社は、これらの医師コンサルタントから、認知行動療法と段階的運動療法を患者にさせれば、保険料を長期的に支払わずに済むというアドバイスをしていた。
2)研究者たちは、ME/CFS患者への長期的な給付金をストップさせたいイギリス政府によって選出された。
3)被験者のうち、13%がこれらの心理療法などを始める前から、すでに「回復した」と分類されてしまうほど、「回復」の基準が低く設定されていた。
また、実際に療法によって悪化した人も療法後のアンケートでは、「回復した」と分類されてしまう人もいた。
4)研究の途中段階で、被験者に対してニュースレターが送られてきたという異例の事態があった。
そのニュースレターは、「他の患者たちも回復している。」という内容のもので、回復の有無を被験者が主観的に判断する研究で、被験者を誘導するようなニュースレターが送られてきたことは、研究の方法論的にも、倫理的にも大きな問題があるとされている。
これに対する応答として、Pace Trial研究者側の反論も掲載されている。

現在、ME/CFS専門医や研究者、患者会や啓発家がテレビやメディアに出演、投稿し、シャープ氏の論文を猛烈に抗議し、論文の撤回を要求している。
論文自体に、ME/CFS患者への支払いをなんとかこばみたい政府や保険会社との利害関係、
方法論的問題や倫理的問題があるのであれば、研究結果をそのまま鵜呑みにすることはできないが、患者の側からすれば、少しでも回復する可能性があれば、それに挑戦するか否かは、患者の選択と決断によると思う。
ただ、問題は、この研究結果が、海外メディアによって間違った解釈で大々的に流れており、「CFS患者は運動することを恐れているだけだ。」「CFSは、ポジティブ思考と運動で治る」という見出しの記事の掲載やテレビ放送がなされ、ME/CFSに対する誤解がますます広がることを懸念し、患者会は対応に追われている。
 
 
以前の問題は、ME/CFSは存在せず、「心の問題だ。」「怠けているだけだ。」と言われ、
精神疾患として扱われて認知行動療法や段階的運動療法を強制され、重症化することだった。
 
デンマークのME患者カリーナ・ハンセンさんは、この11月7日に精神科病棟での3回目の誕生日を迎える。
 
MEという診断を精神科医によって取り去られ、警察官の介入によって強制的に家族から離され精神科病棟に入れられた。
 
イギリスの小児ME専門医ナイジェル・スペイト氏が彼女を救出するために、セカンドオピニオンを与えるため飛行機でデンマークの病院に向かおうとしたが却下された。
 
2年半の間、認知行動療法や段階的運動療法などの無理な精神医学的な治療を受け続け、今では、さらに重症化し、家にいた時にはなかった脳の障害も起こしているそうだ。
 
ME患者を心因性疾患として扱うことで政府は医療費を削減し、保険会社も支払いをしなくてもすむという政府や企業側の事情がある。
今回の論文は、ME/CFSが、重篤な身体疾患であることを研究チームは認めた上で、尚、患者たちが労作後の疲労や悪化を恐れて、運動や活動をしない状態が障害を助長しているとして、心理的アプローチによって不安や恐怖を取り除き、前向きな思考と運動で治療していくというものだ。
頭からME/CFSは存在しないとして、心理的アプローチを強要するという以前のとらえ方とは異なる。
以下は、この論文の発表を受けて書かれたイギリスデイリーテレグラフの記事である。
すぐに、ME Associationが、デイリーテレグラフとの抗議と交渉により、デイリーテレグラフの記事に誤りがあったことをテレグラフ側も認め、オンライン上で記事の訂正を行い、ME Association側の認知行動療法や段階的運動療法に対する見解を掲載した。
 
 
デイリーテレグラフの記事
「慢性疲労症候群患者は、前向きな思考と運動で症状を緩和できる ~オクスフォード大学 筋痛性脳脊髄炎は、実は慢性疾患ではない~」
 
 
翻訳・要約
 
 
2年間にわたる患者の経過観察の結果、認知行動療法によって、患者の考え方を変化させ、段階的運動療法をした患者のほうが、他の治療を試みた患者より、疲労の程度が緩和し、日常生活がもっと楽に過ごせるようになった。
 
多くの慢性疲労症候群患者が、運動は症状を悪化させると信じているが、2年にわたる研究の結果、認知行動療法と段階的運動療法に効果があったことをオクスフォード大学のマイケル・シャープ氏が発表した。
 
 CFSまたは、ME全体の治療を見出すのが大変なのは、その病名の傘下に異なる原因によるいくつかの疾患を含んでいるためで、それらをどのように分類するかがまだわかっていない。
 
多くの病名がつけられ、原因としても、感染症、腸内バクテリア、ストレス、うつ病、免疫の問題、外傷、環境毒素、アレルギーなど多くの原因があげられてきた。
 
この研究では、481人の患者を対象に、睡眠障害や吐き気、痛みに対する標準的な薬物治療、ペーシング療法、段階的運動療法、認知行動療法の4つの治療を比べた。
 
前者ふたつには、長期的な効果は見られなかったが、段階的に運動を増やし、「もう二度と良くならない」などの患者の否定的な思考パターンを変える治療に効果が見られたとのこと。
 
シャープ氏は、「この研究結果は、物議をかもし出すだろう」とする。
 
「なぜなら、少数派の人たちが、この病気が慢性的な病気で回復することはない」と信じているからだ。
 
「彼らは、この研究がCFSを本物の疾患ではなく、心因性の病気だという誤解を生むことを懸念するだろう。」と教授はいう。
 
「患者は、”よくなりたくない”と思っているわけではないが、自分ができる範囲に生活を制限し、自分自身をそのパターンに閉じ込めてしまっている。」
 
この研究に携わったキングスカレッジやクイーンメアリー大学の研究者たちは、患者は、この療法を行うことで病状が悪化することを恐れずに、治療に取り組んでもらいたいと話す。
 
と同時に、この療法がすべての人に効果があるとは言い切れず、まだ研究が必要だとのべている。
 
この研究は、The Lancet Psychiatry に掲載された。
この記事を掲載後、デイリーテレグラフは、記事の内容にあやまちがあったことをオンライン上で訂正し、その後、ME患者のジル・ストラトンさんの話を掲載した。
 
ジルさんは、公務員としてフルタイムで働いていた。スポーツ観戦が大好きで、社交的で、家族とも良い関係にある元気な母親だった。
 
ある時、ひどい風邪を引き、トイレに這っていくことしかできない状態になり、その晩以来、ベットから出ること自体がむずかしくなった。
 
何度もトライし、立ち上がれたとしても、フラフラして起立を保てない状態になってしまった。
 
光や音に過敏で、電話での会話がむずかしくなりフォークを持つだけで体が痛むようになった。
 
視覚がぼんやりし、めまいが続く。
 
2年経過した今でも毎日のようにこのような症状と闘っている。
今ではベッドからリビングルームまで移動したり、家族と会話をすることはできるようになったが、家事も外出も、シャワーも家族やヘルパーの助けが必要だ。
 
そんななか、今回の2年に及ぶCFS研究の結果に期待を寄せていたジルさんだが、テレグラフ誌のヘッドラインを見て、「またか!」と沈み込んでしまったという。
 
ただでさえ、「心の問題だ。」「君の想像だ」「できるのに、怠けているだけ」と矮小化され理解されないME/CFSに対して、
 
「MEは、慢性の病気ではない。前向きな思考と運動をすればMEは治る」という記事が大々的に載ってしまったのだから、怒るのも当然だ。
 
ジルさん曰く、「もしかしたら、そういう方法で治る人もいるのかもしれない。でも、動けないから困っているのに、セラピストが”起き上がって動けば治る”というのには、フラストレーションを感じる。本当に動けたら、どんなにいいか!」
 
「CFS患者は、運動が症状を悪化させると思い込んでいる」と精神科医は話すが、
 
実際に少し何かをすれば、次の日にはベッドから洗面所に行くのに苦労する自分の生活をビデオにとって見せたいほどだとジルさんは訴える。
 
このリサーチの研究結果は、再び、CFSが心因性の病気だという誤解を招く危険性がある。
 
このようなイギリスの動きとは逆に、ノルウェーでは、癌治療のために使われる抗がん剤治療(キモセラピー)が60%以上の患者に緩和や回復を見せたという研究が行われた。
 
ジルさんは、日々の生活の中で症状に耐えながらも、こうした医学の進歩に期待し、間違っていることには間違っていると声をあげることが大切だと話す。
 
個人的な意見になるが、症状のレベルやサブカテゴリー、発症年数によって、認知行動療法や段階的運動療法で実際に症状が回復し、日常生活が楽に過ごせるようになる人が本当にいるのなら、それは、その患者にとっては、朗報だと思う。
患者は自分の意志で治療法を選ぶ権利がある。
 
しかし、実際にこの療法によって症状が重症化し、再起不能な状態になった患者がいるということ、
また、この研究自体に、ME/CFS患者にかかる支出をおさえたい政府や保険会社の不純な動機がもし本当にあったとしたら、鵜呑みにすることはできないというのも事実だ。
研究の方法論にあまりに多くの倫理的、方法論的問題があることを世界の著名な研究者たちが指摘していることを考えるとき、安易に「これがMEの治療法だ」とは言い切れない、、、。
心臓のペースメーカーをつけている心臓疾患患者や嚢胞性線維症患者よりも歩ける距離が短かったME/CFS患者さえも、「回復した」と分類されているこの研究をどうとらえるべきか、、、。いち患者としては、悩むところだ。
 
 
認知行動療法によって、否定的な思考を肯定的な思考に変化させることは、ME/CFS患者に関わらず、どんな病気の人でも(たとえ、健康な人でも)ある程度の効果は示すだろうと思う。
 
運動療法にしても、運動療法をしている効果だけでなく、「よくなるために、やっと何か具体的に行動を起こし、自分がME/CFSであることを信じてくれて、それを一緒に助けてくれる療法家がいてくれる」という安心感が与えられるとしたら、これもまた、ある程度の精神的効果があるのではないかと思う。
私個人としては、鬱病を併発していた時期、オーストラリアで認知行動療法を受け、自分自身もその療法を学んだことがあるが、これらには思考の癖に気付き、現実的に物事を判断し、感情や行動をコントロールするという精神的な効果があり、反応性うつ病や不安に対処するという意味で効果があった。
ME/CFSの症状自体への効果はなかったが、病気とうまく付き合っていくという意味で特に害があるわけではなく、補助的な役割をする療法として私自身はとらえていた。
どちらにしても、この論文が問題視されているのは、認知行動療法や段階的運動療法が補助的な役割としての療法ではなく、CFSの身体的な主症状から回復するための主な治療法として取り上げられていることやその研究に「政治とカネ」が絡んでいた可能性とその研究方法の未熟さである。
これから、コロンビア大学の免疫研究や日本の脳炎研究が、具体的にME/CFSのバイオマーカーを確立し、ノルウェーの研究による抗がん剤投与(キモセラピー)や便移植などが治療法として確立されてくれば、自然にさまざまな誤解もとけるだろう。
 
もしかしたら、そのような進歩によって、軽症、中等症、重症者の違いや機能的な障害が原因の人と器質的な障害が原因の人が客観的に見分けられるようになり、または、CFS診断を受けているが実はうつ病や他の精神、または身体疾患であることを識別できるようになるかもしれない。
 
それぞれの段階や年数、障害に適した治療法が確立され、これらの認知行動療法や段階的運動療法も、もっと客観的で倫理的な再研究によって、ある段階の患者や反応性うつ病を併発している患者には有効だと認められる日が来るかもしれない。
 
こうして、色々な側面からの研究が行われ、ぶつかりあい、批判しあいながらも、最終的にパズルのピースが組み合わされて完成され、ME/CFSの治療法が解明されることを心待ちにしている。
*この記事は、認知行動療法や段階的運動療法を肯定、または、否定するものではなく、最近のME/CFS界の流れと筆者個人の意見を述べるものです。

2015年

10月

30日

朗報!アメリカの国立衛生研究所(NIH)が正式にME/CFS研究を強化することを発表。

朗報!アメリカの国立衛生研究所(NIH)が正式にME/CFS研究を強化することを発表。

NIH所長Francis Collinsによると、国立神経疾患・脳卒中研究所Walter J. Koroshetzと、米国社会福祉省のCFS諮問委員会 NIH代表のVicky Holets Whittemoreのもと、免疫系から神経系、代謝系などありとあらゆる系統の研究を行い、ME/CFSを解明するとのこと。

NIHは、世界で最も大きな研究施設である。

ウイルス、細菌、カビとCFS患者の免疫反応を研究しているコロンビア大学のイアンリプキンも、この研究チームに所属される予定。

風邪やインフルエンザなどの感染症がきっかけで、健康な生活から永久的に障害をおうというのが患者たちにみられる共通のパターンだが、

30年間国立衛生研究所に無視され続けてきたこれらの患者たちを最新の機器やテクノロジーを使って研究することになった。

元ワシントンポストのレポーターでCFSによって障害者となったBrian Vastagは「このことの意義は大きい」と語る。

2009年に特定のレトロウイルスが関わっているという研究結果が再現できなかったことで、科学者のCFSへの興味が停滞したが、

今回は、シングルセルバイオロジーなどの新しいテクノロジーでこの病気の背後にある個別の免疫細胞なども調べることになった。

また、この研究によって、抗がん剤治療を受けた癌患者が経験する「疲労」などの謎が解明されることも期待されている。

まだ、どれくらいの予算があてられるかははっきりしていないが、これまで花粉症の研究費よりも低かったME/CFS研究費が増大することが期待されている。

http://www.theatlantic.com/health/archive/2015/10/a-boost-for-chronic-fatigue-syndrome-research/413008/


2015年

5月

04日

CFS支援ネットワークが青森県、秋田県にて5月12日慢性疲労症候群世界啓発デーイベント開催 "ブルーライトアップ&サムシングブルー"  

いよいよ、5月12日慢性疲労症候群世界啓発デーが近づいてきました。今年は、CFS支援ネットワークが青森県と秋田県にて同時にイベントを開催予定。 ”まーくハウス&ぷろじぇくと”も、資金協力をさせていただきました。

イギリスME/CFSドキュメンタリー映画「闇からの声なき声」の販売、パネル展では、”まーくハウス&ぷろじぇくと”の啓発画像などを展示して頂く予定です。




2015年

4月

07日

ME/CFS患者の脳脊髄液中のサイトカインの異常は、免疫系の疲弊と中枢神経系の異常を示唆

http://emerge.org.au/cerebrospinal-fluid-study-shows-immune-differences-in-mecfs/

 

コロンビア大学の研究で、ME/CFS患者、多発性硬化症患者と健康な被験者の脳脊髄液を調べたところ、

 

ME/CFS患者で51種類のサイトカインのうち、23種類のサイトカインのレベルに変化がみられる(主に低下している)ことがわかり、このことが免疫系の疲弊を示していることがわかった。

 

この結果は、先日発表された同大学の研究結果と一致している。


CFS発病して最初の3年間は、高レベルの免疫反応が起こり、サイトカインが上昇するが、3年後以降は、免疫が疲弊状態になり、サイトカインが低下するというもの。

 

サイトカインの変化は、多発性硬化症患者と同程度の異常を示しており、中枢神経系の異常を示唆するとのことだ。

2015年

3月

08日

ME/CFS患者の脳脊髄液内のサイトカインの混乱が神経系の異常に関与している可能性

http://www.hindawi.com/journals/mi/2015/929720/


Hindawi Publishing Corporation

研究発表
「慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎患者の脳脊髄液中のサイトカイン」


内容の要約


2月26日に受理されたアメリカとオーストラリアの研究者たちによる研究結果によると、18人のME/CFS患者と5人の健康なコントロールグループの脳脊髄液内のサイトカインを調べたところ、

27種類のサイトカインのうち、インターロイキン10というサイトカインだけがCFS/ME患者で低下していることがわかった。


CFS/ME患者にみられるこの炎症性サイトカインの混乱が、神経系の変異を引き起こしているのかもしれないと結論づけている。


インターロイキン10は、先天性免疫と適応免疫システムのほとんどすべての細胞によって分泌されていて、中枢神経系の抗炎症作用に役割を持つが、


このインターロイキン10が低下していることが、CFS/ME患者の微熱などの症状に関与している可能性もあり、今後の更なる研究が期待される。

2015年

3月

07日

「慢性疲労症候群は実存する測定可能な病気である。」CTVより

「慢性疲労症候群は、実存する測定可能な病気である。-研究者」

以下はCTV「慢性疲労症候群は、実存する測定可能な病気である。-研究者」の要約。



9年前、リサ・シュナイダーマンさんは、旅行でマラリヤに感染した。

このことが、別の病態を引き起こすことを彼女は予想もしていなかった。
-慢性疲労症候群である。

この病気は、彼女をマラソンを走り続けた後のような疲弊に陥れる。



家族や友人たちの中には、彼女の病態に疑問を抱き、理解してくれなかった者もいるとCTVニュースのインタビューに答える。

「目に見えない病気を理解するのは、本当に難しいと思います。

障害と言えば、どうしても車椅子や杖等を連想してしまうからです。」




ところが、最近の研究で、CFSが患者が頭の中で想像した病気ではなく、実在する病気であることを示す明白な証拠が見つかった。

300人のCFS患者の血液を調べたところ、CFS発病3年以内の患者のサイトカインが上昇していることがわかった。

感染症などをきっかけに、患者の免疫系が過剰に働く(オーバードライブする)ことで患者を疲弊させている。

初期段階での血液検査によって、CFSの早期診断が可能になることが期待される。



この研究は、突然何かに感染した後、そのまま改善しない状態が続くという意味で、

まるで「ひき逃げ事故」のようだという喩えを裏付ける結果を示した。

CFS患者の場合、感染症によって稼動した免疫システムを静める機能がブロックされることで、

そのまま免疫がハイギアを入れた車のようになってしまう。



研究では、発病から3年はこれが続くが、3年を過ぎると逆にこのサイトカインが低下し、免疫システムが疲弊した状態に陥るということだ。

時が経つにつれて段階的に変化していく病気の経過を理解することで、その段階にあわせた治療法をあみ出せるような試みが期待される。



今回の研究結果はこの病気が本当に実在する病気だと訴え続けても信じてもらえなかったCFS患者にとって大きな安堵を与える結果となった。

前述のリサさんは、ひどい時には簡単な算数もできなかったが、今では調子のいい日には10分から15分の読書をしては休み、5分起立するのに、10分から1時間の休憩が必要だということだ。

彼女は、今回のコロンビア大学の研究が将来の希望をもたらし、これが大きな転機になることを期待していると述べている。


(後書き)

2014年4月、日本の理化学研究所の論文にも、サイトカインは登場した。

患者の血液や髄液を健常者と比較検査したところ、炎症性サイトカインがわずかに上昇していることが報告されていて、脳内での炎症が脳機能の低下に関わっているのではないかと推測されていたが、

日本の研究で、「実際に脳内での炎症が増加しており、脳機能の低下の原因となっていることが示唆されました。」と結論づけている。

脳脊髄液中のサイトカインを調べた最新の論文は、こちらをクリック。







2015年

2月

28日

ME世界ニュース:IOMの新診断基準に対する反応とMEによる死亡者調査

「ME Global Chronicle」というME患者やサポーターが発行しているメールマガジンがある。

世界のME医療者や患者会の方々の投稿をまとめて、2ヶ月に一度、希望者に無料で配信されているものだ。

色々な国からの投稿があり、他国での様子やME界のさまざまなニュースや記事を紹介している。

英文だが、配信や記事の投稿を希望される方は、上記タブの「ME Global Chronicle-英語版ニュースレター」をクリックすると申し込み方法が閲覧できる。



以下は、今回の最新号 第9号に載せられていた記事のうち、興味深いニュースをピックアップして要約してまとめたものである。



IOMが提案している新しい病名と診断基準についての記事


IOMが提案している新しい病名と診断基準への反応として、David Egan氏が 「The IOM Disaster(IOM災害)」と題して、新しい病名SEID(全身性労作不耐病:まーくハウス訳)が、いかに物議をかもしだしているかを論じている。

癌や多発性硬化症でも、”労作不耐”があるという論点から、”この病名はME/CFSについて何も特徴的なことを語っていない”とEgan氏は訴える。

IOMのレポートでは、ME/CFSが重篤な身体疾患であると認めているが、そのことが今回の簡素化された新診断基準には反映されておらず、以前から物議をかもし出している1994年の福田基準とほとんど変わらないと批判する。

新しく加わったのは、起立不耐性のみで、免疫系、ミトコンドリア、神経系、HPA軸、遺伝、胃腸系、
マイクロバイオーム、心臓などの異常などはすべて排除されていて、

この基準は、曖昧で不明瞭な診断基準であると語る。

多くの患者が、「地獄に取り残され、その結果、早すぎる死に追いやられる危険性にさらされる」とのべている。



また、IOM診断基準は、併発疾患に精神疾患を含んでいることで、多くの精神疾患患者がSEIDに含まれるようになり、医師や研究者をますます混乱させ、研究結果の信憑性を失うことを懸念している。

ロンドンの精神科医の関与がこのIOM診断基準にあるのは明白で、多くのすでに知られている身体的バイオマーカーが無視されていることがその証拠だとしている。



ME/CFSに対する精神医学の関与により、認知行動療法や段階的運動療法などへの研究のためにNIHやイギリス、EU政府の研究資金が無駄につかわれてきたが、

その反面、信憑性のたかい生物医学的研究も行われており、この病気のバイオマーカーは証明されているとEgan氏は語る。

ノルウェー政府は、免疫の異常に目をつけ、抗がん剤リツマキシブの使用を研究しているし、

リツマキシブとマイクロバイオームに対する研究はイギリスでも始まろうとしている。





その他、医療保険の打ち切りやLTD(長期障害年金)の支給の打ち切りを懸念している記事もみられた。

これまで、ME,または、CFSという病名で医療保険や年金を受け取っていた海外の患者たちは、

新診断基準に精神疾患の併発が含まれていることにより、支払いを打ち切られる可能性を指摘している。



また、残念なことに、このIOM基準が作られるために使用された過去の文献は、2014年4月ごろまでのものだということだ。

つまり、最近のファンクショナルMRIやPET、Quantitative EEGを使用して発見された脳の器質的な異常に関する研究は一足遅く、その研究結果はこの診断基準には反映されていないとのことだ。



シカゴのDe Paul大学でMEによる死亡者調査を考察

MEによって命を奪われた患者の家族、友人、介助者たちを対象にオンライン調査が行われるという記事が載っている。

この病気がどのような結果をもたらすか、どのような深刻な病であるかを調査するのが目的だそうだ。

ME患者の死亡者リストは、www.ncf-net.org/memorial.htm など、サポートグループが独自に集めた資料が存在しているが、

これを今回研究者がデータの収集を行うということだ。



ME患者の死亡について

2015年2月に死亡した3人のME患者のこともメールマガジン冒頭で掲載されていた。

今月、2月4日香港出身のVanessa Liさん、

同日に イギリスでBrenda Duncanさん、

2月3日オランダのMarijke de Jone が亡くなられたとのことだ。

もちろん、このように患者会などが発表する死亡者は、

Vanessaさんのようにご自身がME啓発家である場合や

ご家族が患者会との関わりがあるから報告されるのであって、

誰にも知られずに亡くなっていく方もおられるのは想像できる。



小児慢性疲労症候群患者の精神科病棟での隔離について

2月12日で、オランダのME患者のKarina Hansenさんが

精神科病棟に隔離されて2年が経つそうだ。

ヨーロッパのME/CFS事情は過酷である。

小児慢性疲労症候群の患者が不登校になるところから、法的な関与が始まり、

MEへの理解がない医療者や福祉士によって精神的な病とされ、

両親の同意なしに強制的に精神科病棟に入院させられ、

認知行動療法や段階的運動療法を強要され、

症状を悪化させるというケースが後をたたない。



最近流れたCFS患者に対する認知行動療法や段階的運動療法の起用について

ME/CFS患者に対する精神医学的アプローチで、

命を落とした患者が存在するなかで、

最近、ランセット誌に”CFS患者が恐怖のせいで運動ができない”という発表が載ったことで、

”CFSには認知行動療法や段階的運動療法がいい”というニュースが

飛び交ったのは記憶にあたらしい。

投稿された記事の中には、法的な手続きの中にあり自分の子どもが強制入院させられている、

または、させられる可能性がある小児慢性疲労症候群患者の家族は、

非常な恐れを抱いているということだ。

段階的運動療法の一貫として、不登校になっている子どもを段階的に学校に通わせるというプロセスも含まれているようで、

家で学習するほうがはるかにエネルギーを温存できるME患者を無理矢理登校させるということに関係者は懸念している。


2015年

2月

11日

米国医学研究所が慢性疲労症候群の新しい病名を提案 Systemic Exertion Intolerance Disease(SEID)





米国医学研究所が、昨日、慢性疲労症候群の新しい診断基準と新しい病名を提案したことで、CFS業界がざわついている。

主症状である労作後の不調(倦怠感)という特徴を反映するため、
Systemic Exertion Intolerance Disease(SEID)という病名を提案している。

日本語に翻訳すると、「全身性労作不耐性疾患」ということになる。



以下に、さまざまな記事から内容の要約をまとめてみた。

委員会では、筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)という病名に代わってこのSEIDという病名を使用することを推奨している。

「このレポートが主に伝えたいことは、ME/CFSが深刻で慢性かつ複雑な多系統にわたる疾患で劇的に患者の活動を制限する病気であるということです。

最も重篤な場合では、患者の生命を破壊することもあります。

この病気は、実在するのです。」と書かれている。

レポートには、また「84%-91%の患者がまだ診断を受けられていない」ことや、診断を受けるのが困難な理由として、医療者がCFSを重篤な病気であることを知らないことやCFSを心因性の病気や患者の想像に過ぎないと考えていることをあげている。


委員会メンバーのジョン・ホプキンズ病院の小児科医ピーター・ロー氏は、

「新しい名前はこの病気の主な特徴をより直接的に表しています。
それは、身体的、認知的労作に対する不耐性です。」と語る。

9000以上の研究の見直しと専門家からの証言、人々の意見から、委員会は慢性疲労症候群という病名が多くの患者に汚名と矮小化という害を与えてきたと結論付けたとのこと。

筋痛性脳脊髄炎(ME)については、この病気の主症状を明確に示すものではないと言及している。

彼らは、筋肉痛が他の症状より顕著ではないということと、脳の中枢神経の炎症があるという研究結果があっても、その役割が証明されていないという理由で、この病名は適切ではないと主張している。


これまで少なくとも20以上の診断基準が存在し、医師や患者、患者家族だけでなく研究者を混乱させてきたが、今回提案された診断基準は中心的な症状に焦点を当てているそうだ。

3大基準は、

1、休息等によって回復しない少なくとも6ヶ月以上続く仕事や勉強、日常生活における能力低下や障害

2、労作後の不調(倦怠感)

3、疲れの取れない睡眠

そのほか、この診断基準で診断されるには、認知機能障害、または、起立不耐性のどちらかがなければならない。

このレポートは、“Beyond Myalgic Encephalitis/Chronic Fatigue Syndrome: Redefining an Illness,”と呼ばれるものだ。

(原本はこちら)


この名前を割り出すのに、100以上の選択肢があげられ、匿名で選ばれたが、委員会メンバーのRonald Davisは、「非常に大変だった。これが完璧な名前だとは思わない。」と話している。

この名前が絶対的な名前だということではなく、慢性疲労症候群という病名からくる患者が受けている被害を止めようとする試みの第一歩というスタンスらしい。


この動きに対して、もちろん、さまざまな反応がある。


ME/CFSに加えて、”3つ目の名前も同時に使われるようになれば、「はい、私は、MECFSSEIDにかかっています」と言わなければならなくなるかもしれないが、たとえ、病名が50文字になろうが、CFSよりはましだ!”という意見もあった。

逆に、MEという病名を好む人々は、すでに反対キャンペーンを行っている。



すでに昨年から世界のME/CFS専門医や支援者たちは、米国医学研究所IOMが新たに税金を使って新しい診断基準を作成することに反対し署名を行ってきた。

彼らは、国際診断基準を基本にすべきだと訴えている。

病名や診断基準に対する論争は、研究が進み、病気の原因が究明されるまで、まだまだ終わりそうもない。



ところで、慢性疲労症候群や線維筋痛症は、厚生労働省の指定難病の医療費助成対象の候補610からもれたそうだ。

厚生労働省の指定難病検討委員会は4日、難病対策の新制度で医療費の助成対象の候補となる610疾患のリストを公表した。

この中から約200疾患を3月中に選び、今年夏から助成する。リストは、指定難病検討委員会の議事録や資料を公開する厚労省のホームページで閲覧できる。

検討委ではリストの中から神経筋疾患の「筋ジストロフィー」など41疾患について議論し、助成対象とすることに大きな異論はなかった。

線維筋痛症や筋痛性脳脊髄(せきずい)炎(慢性疲労症候群)については、患者数が助成対象要件の「18万人未満」を超え、客観的な診断基準もまだないためリストから除外された。」とのこと。



2015年

1月

24日

「運動することへの恐怖がCFS患者を悪化させている」という研究発表にME/CFS団体、専門家が抗議

http://www.telegraph.co.uk/news/science/science-news/11343258/ME-fear-of-exercise-exacerbates-chronic-fatigue-syndrome-say-researchers.html

 

ランセット精神疾患専門誌にロンドンのキングスカレッジ教授Trudie Chalderが発表した論文がME/CFS患者や専門医たちの間で物議をかもし出している。

 

以下は、上記のテレグラフ紙に載った記事の要約である。

 

症状を緩和するための最善の方法を見出すために、キングスカレッジ研究者は600人以上の患者に対して1年を通してさまざまな治療プログラムを行いその経過を見た。

 

認知行動療法、特化した医療ケアと運動などである。その結果、多くの患者は運動に対する恐怖心をもっていたが、行動療法でもっと活動的になるように促すと、彼らの症状が改善することがわかった。

 

「この結果は、治療家がもっと散歩などの運動を推奨するように示唆している。すぐに自転車に乗れという意味ではないが、ゆっくり注意深く行われるべきである。」と教授は言う。

 

寝たきり患者は最初はベッドに起き上がったり、数分だけベットから出て座ることを提案している。

 

 

ところが、当然のごとく、この論文に対して患者団体や専門家の間で批判の声があがっている。

 

この論文は、患者が怠けている、または恐れているから運動をしないという印象を与えてしまうことによる。

 

ME Associationのチャールズ・シェパード医師は、ME患者には個別の治療計画が必要だと言う。

 

この論文は、「休養が駄目で運動がいい」という短絡すぎる見解を後押ししてしまう可能性があるので危険だと語る。

 

Action for MEのSonya Chowdhuryは、「この結果が指し示すものは、MEやCFSが心因性の病気だということではない。ME患者は、短い散歩やベッドから起き上がるなどの適度な活動や運動を恐れているわけではない。」と語っている。

 

Severe ME・25%グループは、この発表に対して「我々は激怒している」という声明を出している。

 

MEという病気が神経系疾患であることが無視され、精神医学の関与によって矮小化され迫害され続けていることに抗議している。

 

 

 

海外では、CFSが精神疾患だとする医師が患者から脅迫され、24時間のセキュリティで身の安全を守らねばならないという事態も報告されている。

 

この記事を読んだとき、わたし自身もすぐにこのことが大問題となると思ったが、次の瞬間には次から次へと抗議文が投稿されているのを見て、多くの患者がこの研究結果に対して批判的だということがわかった。

 

と同時に、個人的には恐怖と自制というのは、同じコインの裏表でもあるように思った。

 

自分のエネルギー以上の運動や活動をすれば症状が悪化し自分自身が苦しむということを知っている患者にとって、それは「自制」であるが、病気でない人にしてみれば、それはただ単に「恐怖」にしか見えない。

 

また、「これをすれば、このような結果になる」という多少の恐怖心や警戒心というものが全くなければ、自制などできないとも言える。

 

 

どちらにしても、個人差や病気の重篤度にも差があることを考慮する必要がある上、「運動すると悪化することが怖い」という心理状態がたとえ個々人の患者にあったとしても、実際に運動するエネルギーが産出されていないという身体的な障害があるということがうやむやにされてはならないと思う。

2015年

1月

05日

Action for MEによるME啓発動画 ”Do you care about M.E."

日本語翻訳・要約

w.actionforme.org.uk/meam2014


MEは、慢性の障害を引き起こす病気で、いつでも起こり得ます。


性別、年齢、どんな社会的、民族的背景に関わらず、かかる可能性があります。


イギリスだけでも、250人に1人が現在MEにかかっています。



多くの人が、ME患者は、”ただ疲れていると感じているだけだ”と思っていますが、それは間違いです。


2014年、Action for MEは、ME患者2000人以上にアンケートを行いました。


その中で、患者が経験している症状には、頭痛、リンパの腫れ、疲弊、下痢、IBS、過敏症、消化不良、めまい、睡眠障害、めまい、筋肉痛、関節痛、動悸、痙攣、インフルエンザ様症状、スピーチ障害、吐き気、集中力の低下、、、などがあげられました。




以下は、「あなたの人生にどんな影響を与えましたか。」というアンケートに対する質問に対する答えです。




「働けなくなったため、年老いた母に頼っている。料理や掃除ができず、掃除機を押す力もない。


家事をしたら1日中疲弊してしまうい。MEは、私の人生にあらゆる面で重くのしかかっています。」



「自分では、外出できず、自立した暮らしはできません。悪い日は寝たきりで、麻痺している状態です。

手をあげることをできず、ご飯を食べさせてもらい、シッピーカップを使って飲み物を摂取します。


痛みが激しく、耐えられない時は、その痛みから逃れるために、誰かに気を失うほど殴ってもらいたいと思うほどです。」



「大学最後の年にMEになり、寝たきりになりました。睡眠障害、過眠、極度の疲労があり、体が鉛のように重かったのです。階段の上り下りは、マラソンをしているかのようでした。」



「疲れと痛みと衰弱で3つの仕事を失い、一人では外出もできません。警察官や看護師だったのに、今では日常の家事が全くできない人になってしまいました。」



「私の体は、15年前に完全に崩壊しました。活発で、つむじ風というあだ名で呼ばれていたほどなのに、今で活発なスポーツは全くできません。」



「音と化学物質の過敏で外出ができなくなりました。頭にもやがかかっていて、運転も危険です。また買い物に行くものも難しいです。耳栓をして蒸気マスクをしています。」




これが、「ただ疲れていると感じているだけ」に聞こえますか。私にも、そうは聞こえません。



2000人のうち、、、


20%は、「子どもを持つかどうかの決断に影響を与えた」


26%は、「1人で外出できない」


29%は、「教育を受ける機会をストップまたは、減少させた」


51%は、「運転ができない、または減らした」


87%は、「仕事をやめた、または減らした」


92%は、「社会との関わりをとめた、または減らした」


と答えています。


MEはただの疲れ以上のものです。


2014年

11月

29日

オクスフォード大学研究が、日本のCFS研究班の「脳炎の関与」を裏付ける

先日、オクスフォード大学の研究班がME/CFS患者の脳内の異常を発見したという研究結果をお知らせしたが、日本の研究班が発表した「脳炎の関与」を示す研究結果を裏付ける結果となり、これまで身体疾患ではないと否定され、精神科に紹介されてきた患者たちに光が差し込んでいる。


オクスフォード大学の研究では、15人のCFS患者と14人の健常者の脳を比べたところ、CFS患者の脳の白質が減少していることがわかり、脳の炎症を裏付ける結果となった。



また、右脳の白質にある神経経路の形態に異常があることがわかり、症状が重篤であるほど、この異常のレベルが大きいことがわかった。今後、日本の研究班とオクスフォード大学研究班の結果をふまえて、さらなる研究が期待される。


Brains of People with Chronic Fatigue Syndrome Offer Clues About Disorder




2014年

11月

22日

小児筋痛性脳脊髄炎患者の動画 

16歳で発病したまま、成人した今尚、24時間寝たきりの状態です。彼女のように重篤なME患者もおられますが、皆がこのような状態というわけではありません。はじめは学校や会社に何とか行ける軽症、中レベルだったところから、病院などでの不適切な対応や仕事や学校の無理が何年も続く等で重症になるケースがあります。

2014年

11月

22日

アメリカMay12.orgがME/CFSナショナルPRキャンペーン開始

オランダ政府助成によりなる「ME/CFSウェブセミナー Science for Patients」主催者からのお知らせです。
 
アメリカにおけるP2P, IOM and CDC Multisite StudyによるME/CFSの新しい診断基準の作成に反対し、May12.orgが中心となって抗議キャンペーンを行うことになったとのこと。

これまで、患者団体は障害を持つ患者たちが中心にCDCに対して草の根的な抗議をしてきましたが、今回、寄付金を集めることでプロのPR会社を雇い、議会やメディアに新しい診断基準作成のための税金の無駄...
遣いをやめさせ、カナダの診断基準を起用することを求めて大々的なキャンペーンを行うことになったとのことです。

この新しい診断基準に対しては世界じゅうのME/CFS専門医や啓発家がすでに政府に抗議文と署名を送っていますが、今回は寄付金を集めてPR会社を雇い、患者たちの怒りと要求が必ず政府の政策に影響を与えるために万全を備えるとのことです。
 
この動きに賛成、反対の方はおられると思いますが、このような動きがあるということをご報告しますとのことです。
 
詳しくは以下のサイトをご覧ください。国際的に募金を募っているそうです。

 

 

https://meadvocacy.nationbuilder.com/donatepr



May 12th ME/CFS Japan   ”You are not alone"  

ひとりじゃないよ!

患者さんへの励まし動画

ME/CFSインフォシート 2017年バージョン!下からダウンロードできます。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群インフォメーションシート 2017改訂版
医療機関、家庭、職場、学校など周囲の方たちに自分の病気を理解してもらうための情報シートです。ワードのままにしてありますので、ご自由にダウンロードしてお使いください。Mark Houseのウェブサイトを消しても構いません。ご自分の症状や用途に合わせて編集してください。
2017最新版MECFSインフォシート.docx
Microsoft Word 33.4 KB

Facebook

ME/CFS 情報

Mark House & Projects

May 12th ME/CFS Japan

 

”May 12th ME/CFS Japan” は、

キリスト教ハウスチャーチ  

Mark House

のME/CFS啓発運動です。

 

ME/CFS患者会ではありません。

 

代表:マーク雅子

(ハウスチャーチ牧師伝道者)

ブログ:

"イエス様と歩む

筋痛性脳脊髄炎/

慢性疲労症候群

脳脊髄液減少症&開瞼失行